醤油かけたらだいたい美味しい。

舞台も映画もドラマも少しずつ見ます。コメディが好きです。

【シソンヌ】株主総会に行ってきた。(シソンヌライブ[dix]感想)

特別お題「わたしの推し」について書きます。

そもそもシソンヌが「わたしの推し」ではありますが、今夏(2021年)のシソンヌライブ[dix]より、特に好きだったコントについて。

 

先日、WOWOWにてシソンヌライブ「dix」が放送されました。面白かった中でも、株主総会を設定としたコントがとても衝撃的で、好きでした。あまりに好きだったので、心の中で温めたりしていたのですが、少しだけ言葉にしてみようと思います。

 

内容は、ある会社の株主総会において、社長(長谷川)から、新役員として花沢香織(じろう)が紹介されるが、自分の役員選出は実力なのか、時代の風なのか教えて欲しいと問う、というもの。

一番好きだったのは、(「女性らしい、とされる」仕事を)「やりたいわけがねぇ!」と吐き捨てる部分。女性であるということと、自分の仕事や成果を勝手に結び付けられたくはない、という宣言を激しく叩きつける。特別扱いされたい訳ではない、平等に評価されたい、それでもなお役員に選出されるに値することをやってきたのだ、という自信の表れ。
社長も良いキャラクターで、悪人ではない。「1年前から役員になることは決まっていた(会社のイメージアップとして急に決まったわけではない)」「時代に君も自分も守られているのだ」と諭すが、その発言を「1年前に選出されたかった」「時代に守られているつもりはない、時代が勝手に守っただけ」と鋭く切り返す様は爽快。
そして最後の、「とっても良い会社にしてやる」という決意と覚悟の台詞が胸を打つ。これまでも様々な壁があり、今後もきっと困難が多いであろうけれど、やり通すぞ、という意思表示。と同時に、「とっても良い」というような、言いたいことがありすぎて逆に語彙が乏しくなるような部分がとてもキュート。

 

シソンヌのコントに登場する女性は、自立していて、自分の意志をしっかり持ち、好きなことに積極的で、女性であることを楽しんでいるキャラクターとして描かれていることが多く、そういう部分が好きでしたが、今回は「女性であることが苦しい」と考えるキャラクターにまで高められていて、とても驚きました。
対応する社長にも悪意はなく、この上司と部下の二人の関係性の問題ということではなく、その原因を「社会」にまで踏み込んだという点で、新鮮。このコントを見ながら思い出したのは大塚家具の騒動。女性であることがクローズアップされすぎているような報道を想起させます。時として、1人の女性の失敗が、全人類女性の失敗として扱われること。「だから女性には無理だったんだ」と。それに萎縮せず、自分の能力を信じ、努力し、檀上に立ち続ける花沢香織というキャラクターが、心強い存在として印象に残ります。

また、このコントのオチも優しかったことも好きなポイント。「会長の娘だから」だけで全てをひっくり返して終わることもあり得たなか、実力に90も振られていて、勝手に安心してしまいました。花沢香織さん、ある種のハンデを抱えながら、不満や反発の声を跳ね除け、努力して仕事に臨んできたのだな、ということが伝わる終わり方。

 

そして、このようなコントをシソンヌが作り上げたことに対する喜び!好きで良かったと思う瞬間です。たくさん、たくさん笑い、同時に身を乗り出して応援したくなるようなキャラクターに出会えたことはとても嬉しい。こういった考えの女性がこれからも登場するのか分かりませんが、シソンヌの新機軸ではないかと期待が膨らみます。

 

もし、もしここまで読んでくださって、シソンヌライブdixを未見の方がいれば、ぜひDVD買って見てください。まだ売っていないですか、あと数ヶ月で販売されると思いますので。